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十二支の始まり 第8話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【猫にゆずります】
十二支は中国で始まり、アジアに広がっていきました。猫がいない理由は、『十二支のはじまり』(岩崎京子・文 二俣英五郎・画/教育画劇)でも、ネズミが猫に「レースは2日だよ」とうそを教えたから、ということになっています。実際には、どうなのでしょうか。

猫は犬に次いで、人間に古くから飼われている動物です。『世界大百科事典』(平凡社)には、「人間が蓄えた穀物を食べるネズミを餌にするために、猫のほうから人間に近づいてきたのが始まり」と記されています。日本には、お経の巻物をネズミから守るために連れてこられました。

歴史を見ると、猫は人間とのつながりが薄かったわけではありません。なぜ猫が十二支に入らなかったのか、ますます不思議です。古代中国の人たちは「虎がいるから、猫はいいや」と考えたのでしょうか。

ベトナム、タイ、チベット、ベラルーシの十二支には、ウサギの代わりに猫が入っています。これらの国々の人たちは「猫が入ってないなんて、おかしい!」と思ったのかもしれませんね。