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走れメロス 第7話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【メロスの走る速度】
『走れメロス』には「少しずつ沈んでいく太陽の、十倍も早く走った」と書かれています。
これは、メロスがそれほど一生懸命に走ったというたとえの表現ですが、マンガでは、あえて「本当に太陽の10倍の速度で走った」と考えてみました。その結果「マッハ11」という数字が出てきたのですが、これはどういうわけでしょうか。

太陽が東から西へ動くのは、地球が西から東へ自転しているからです。『走れメロス』の舞台となったシラクスの町は、イタリアのシチリア島に実在する都市で、北緯37度にあります。この緯度の地点では、地球の自転によって、地面は時速1300㎞で西から東へ動いています。
ここで、もし時速1300㎞で東から西へ走れば、宇宙から見て同じ場所に留まることになり、太陽は動かないように見えます。それより速く走れば、太陽は西から東へ昇るように見えます。ここから、地上から見ると、太陽は時速1300㎞で動いているといえるでしょう。

その10倍とは、時速1万3000㎞です。気温15℃のときの音速は秒速340m=時速1224㎞です。ここから、時速1万3000㎞はマッハ11になります。

ライフルの弾丸の速度はマッハ3です。走っていくメロスをライフルで撃っても、弾丸はメロスに追いつけず、当たりません。