今日の1科学【屈折】
アンデルセン童話『人魚姫』には出てこなかった話ですが、科学的に考えると、人魚姫は陸上では視力がよくなかった可能性があります。
脊椎動物の目には、いちばん前に「角膜」、その奥に「レンズ」、いちばん奥に「網膜」があります。人間も魚も同じです。
ものが見えるのは、2つの透明な物質の境目で光の進路が折れ曲がる「屈折」のおかげです。角膜と空気の境目では屈折が起こりますが、角膜と水のあいだでは屈折が起こりません。これが、人間と魚の違いになります。
人間の目は、空気に触れているので、外から入ってきた光は、まず角膜で屈折し、次にレンズで屈折して、網膜の上に像が結ばれます。
魚の場合は、水と角膜のあいだで屈折が起こらないので、レンズだけで大きく屈折させます。このため、魚の目のレンズはとても厚く、ほとんど球形になっています。
人魚姫の目も、水中ではよく見えていたでしょうから、レンズは厚いと考えられます。そんな人魚姫が陸に上がると、角膜でも屈折が起きるために、屈折しすぎて、よく見えなくなる可能性があります。人間の「近視」と同じ状態です。