今日の1科学【走れメロス】
『走れメロス』は、太宰治が1940年に発表した短編小説です。人を信じることの尊さを正面から描いた作品で、中学校の国語の教科書にも載っています。太宰は、なぜこんな名作が書けたのでしょうか。
彼は、ちょっと不良っぽい性格だったようです。
あるとき熱海の旅館で遊んで、家に帰らなかったので、奥さんが「お金も払わずにいるのでは」と心配し、太宰の友達にお金を預けて、連れて帰るように頼みました。
ところが、太宰は友達を引き留めて遊び続け、そのお金も使い果たしてしまいました。そして旅館の人に「お金を持って戻ってくる」と約束し、友達を身代わりに残して東京へ帰りました。そして……戻ってこなかった! 小説と正反対です。
友達が文句を言うと「待つ身がつらいかね。待たせる身がつらいかね」と言ったそうです。身勝手きわまりないですが、こんな経験があったからこそ、メロスの心情をリアルに描けたのかも知れません。