今日の1科学【滑車】
滑車の使い方には、「定滑車」と「動滑車」があります。同じ滑車が、使い方によって名前が変わるわけですね。どこが違うかは、言葉で説明するより、図を見てもらったほうが早いでしょう。今日のマンガの3コマ目と4コマ目にあります。
定滑車では、荷物の重さと同じ力を出さなければ持ち上げられませんが、動滑車では、荷物の重さの半分の力で持ち上げられます。なぜでしょうか。マンガの5コマ目に、3つの滑車が描かれているので、この図で説明しましょう。
滑車には「1本のロープにかかる力はどこも同じ」という法則があります。
5コマ目の左の「定滑車」では、荷物を1本のロープで持ち上げています。このため、ロープには荷物の重さと同じ2㎏の力がかかっています。そして「1本のロープに働く力はどこも同じ」ですから、ロープの右側を2㎏の力で引き下ろさなければ持ち上がりません。
5コマ目の真ん中の「動滑車」でも、ロープは1本ですが、「荷物と滑車を2本のロープで持ち上げている」と見ることもできます。このため、滑車の重さを無視すれば、1本のロープには荷物の重さの半分の1㎏の力がかります。そして「1本のロープに働く力はどこも同じ」ですから、ロープの右側を1㎏の力で引き上げれば、荷物は持ち上がります。5コマ目の右のように、そのロープを定滑車に通しても同じです。
動滑車を使うと、力が半分で済むかわりに、「荷物を持ち上げる高さ」の2倍の長さだけロープを引く必要があります。エネルギーは「力×距離」で決まるので、力で楽をしたら、距離で苦労することになるのです。科学も人生と同じで、得だけをすることはありません。