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かぐや姫 第8話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【はごろも】
『竹取物語』では、かぐや姫は竹取の翁と媼(おうな)との別れを悲しみますが、天人に天羽衣(あまのはごろも)を着せられると、2人のことを忘れてしまいます。『竹取物語』のなかで、もっとも悲しいシーンだと思います。

天羽衣を着ると、そうなることを知っていたかぐや姫は、着る前に帝(天皇)に手紙を書きます。そのなかで、本当は帝を愛していたことを伝えます。その手紙と不死の薬を受け取った帝は、「かぐや姫がいない世の中で生きていても仕方がない」と考え、天にいちばん近い富士山の頂上で、手紙と薬を焼かせます。だから、富士(不死)山という名前になり、いまも頂上から煙を上げている、と述べて物語は終わります。

富士山は1707年の宝永の噴火以後、活動を停止していますが、『竹取物語』が書かれたころは、噴煙を上げていたんですね。