今日の1科学【痛覚の受容器】
人間は、目で光を、耳で音を、鼻で匂いを、皮膚で痛みや温度を感じます。これは、神経の先に「受容器」という細胞がついているからです。
受容器は、それぞれ決まった感覚しか受け取りません。たとえば、味には「甘さ」「塩辛さ」「苦さ」「酸っぱさ」「うまさ(だしの味)」がありますが、甘さの受容器は甘さしか感じません。
皮膚をはじめ、全身の多くの場所には、「温かさ」「冷たさ」「痛み」「押される感じ」の受容器があります。トウガラシに含まれるカプサイシンは、そのうち痛みの受容器を強く刺激します。だから、トウガラシを触った手で、目のまわりなど表皮の薄い部分を触ると、カプサイシンが表皮を通り抜けて痛みの受容器に届き、ヒリヒリ痛くなります。
まして、『かちかち山』のタヌキは、やけどで表皮のなくなったところにカプサイシンを塗られたのですから、もう地獄の苦しみを味わったことでしょう。気の毒に……。
舌にも痛みの受容器があり、カプサイシンはこれを刺激します。ところが、場所が舌なので、痛みが味に置き換えられて、辛さとして感じられます。