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幸福の王子 第9話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【塗料】
ペンキなどの塗料には、面白い性質があります。

塗料は、「溶剤」という液体のなかに「顔料」という固体の粒が入っています。
ハケで塗っているあいだは、顔料が溶剤のなかに浮かんでいるので、滑らかに塗れます。そして、塗り終ると、顔料どうしがくっつき合って、その隙間に溶剤が入り込むので、垂直な壁でも、垂れ落ちることはありません。
ここに、ハケで新しい塗料を塗り足すと、くっつき合っていた顔料が、また溶剤のなかに浮かんで、スムーズに塗り広げられます。「溶剤に顔料が混ざる」という構造が、塗るのにも、塗った後にも役立っているわけですね。

これは、地震のときに起きる「液状化」によく似ています。
水をたっぷり含んだ砂の層は、地震で揺れると、砂が水のなかに浮かぶ形となり、地面が液体のようになります。これが液状化で、ビルなどの重いものは地面に沈み、ガス管や下水管などの軽いものは地上に浮かび上がってきます。

塗料と液状化。自然や人工のものには、意外な共通点がありますね。