今日の1科学【自力で火を起こす】
エイコは、板に当てた棒を手のひらで回して火を起こそうとしています。原始時代の人たちも同じようにしていましたが、なぜこれで火が起こせるのでしょうか。
両手を強く押しつけてこすり合わせると、手のひらが熱くなります。このように物と物がこすれ合うことを「摩擦」といいます。
摩擦が起きると熱が発生します。木の場合は、摩擦で温度が250℃を超えると、燃え始めます。山火事の原因でいちばん多いのも、風に揺られた木の枝どうしの摩擦です。
人間は50万年前から火を使い始めたといわれていますが、はじめは山火事や落雷で起きた火を利用していたと考えられています。
木と木の摩擦で火を起こすようになったのは、日本では1万年ほど前からです。エイコのように、板に棒を当ててキリのように回したり、板に溝を彫り、棒を押し当てて往復させたりしていました。弓や弾み車を使って、効率よく火を起こす方法もありました。
これで火を起こすのは大変ではなかったでしょうか。僕も、板の溝に棒を往復させる方法に挑戦したことがありますが、15分がんばっても煙さえ上がりませんでした。250℃の壁は高かったです。