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ウイリアム・テル 第2話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【帽子】
ウイリアム・テルは、代官のゲスラーの帽子に礼をしなかったことをとがめられ、息子の頭に乗せたリンゴを弓で射貫くように迫られました。テルはなぜ、危険を冒してまで、帽子に礼をしなかったのでしょうか。

当時、ドイツからイタリアの北部にかけて、神聖ローマ帝国という強大な国が支配していました。そのなかで、スイスは交通の中心として栄え、ある程度の自由と独立を保っていました。

1291年、スイスの3つの州が「神聖ローマ帝国からの自由と独立を守る」という盟約を結ぶと、神聖ローマ帝国は支配を強化するために代官を送りました。これにスイスは反発、1315年と86年の戦いで神聖ローマ帝国に勝って、独立を勝ち取りました。

ウイリアム・テルの伝説は、1291年から1315年ごろが舞台だといわれています。彼がゲスラーの帽子に礼をしなかったのは、自由と独立を守るためだったのです。