今日の1科学【墨】
マンガでは、和尚さんたちが芳一の体にせっかく書いた文字が、汗で流れてしまいます。こうなるのは、墨で書いたからですが、そもそも墨とは何でしょうか。
墨は、菜種油などを燃やして作った煤(すす)に、香料や薬を加えて、膠(にかわ)という接着剤で固めたものです。
煤の主成分は、鉛筆にも含まれる真っ黒な「炭素」で、硯(すずり)に水を張って、水に浸しながら磨(す)ると、水のなかにたくさんの小さな炭素が浮かんだ状態になります。牛乳は、水のなかに脂肪やタンパク質の小さな粒が浮かんだものですが、これと同じ状態です。
墨は、紙にも、布にも、木にも、石にも、金属にさえも書くことができて、乾いたら簡単には消えません。でも、濡れたものに書いたり、書いてすぐに水がかかったりすると、流れてしまいます。習字が書けたら、水気のない場所で乾かしましょう。