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美女と野獣 第9話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【モモンガ先生の過去】
昔話や物語には、『美女と野獣』のように、人間が呪いをかけられて動物に変えられてしまう話がたくさんあります。

グリム童話『蛙の王子』では、王子がカエルになりました。昔話『龍の子太郎』では、太郎のお母さんが龍になりました。バレエ『白鳥の湖』では、オデット姫が白鳥になりました。

逆に、動物が人間になる話もあります。『鶴の恩返し』では、鶴が美しい女の人になりました。『きつねにょうぼう』では、キツネが美しい娘になりました。『たにし長者』では、タニシが立派な若者になりました。

どれも恐るべき現象ですが、強いて科学的にいちばん納得度の高いものを挙げるなら、『きつねにょうぼう』でしょうか。なんといっても、同じ哺乳類のなかの変身ですから。『蛙の王子』だと、哺乳類が両生類になっており、だいぶ遠い関係の生物に姿と変えたことになります。

でも、これはまだ同じ脊椎動物のあいだでの変身。すごいのは『たにし長者』で、無脊椎動物のなかの軟体動物のなかの巻貝が、脊椎動物の哺乳類のなかのヒトになっている!
――などなど、昔話も真剣に考えると、理科の勉強に役立ちます。