今日の1科学【のっぺらぼう】
のっぺらぼうは、顔に目や鼻や口がない妖怪です。小泉八雲の『怪談』の「貉(むじな)」にも登場します。
生物学の分類では、ムジナという名前の動物はいません。昔は、地方によってアナグマ(ネコ目イタチ科)や、タヌキ(ネコ目イヌ科)や、ハクビシン(ネコ目ジャコウネコ科)などがムジナと呼ばれ、人を化かすと考えられていました。どれもネコ目ですね。
『怪談』の「貉」は、こんなお話です。ある商人が夜更けに歩いていたら、女の人が泣いていた。優しく声をかけると、振り返った女の人はのっぺらぼう! 慌てて逃げると、屋台の蕎麦屋があったので、ホッとして「恐ろしいものを見た」というと、蕎麦屋は「それはこんな顔かい」と言って振り返る。それものっぺらぼうだった…!
安心させておいて、第2の攻撃を畳みかけるとは、なんておどかし方がうまいのでしょう。ネコ目、恐るべし。