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赤ずきん 第6話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【森】
『赤ずきん』では、おばあさんが森に一人で住んでいます。森と人間の関係について考えてみましょう。

火山の噴火やがけ崩れなどが起こると、岩石がむき出しの荒れ地になります。
初めは植物が育つ環境ではありません。そこへ乾燥に強いコケの胞子が飛んできて育ち、子孫を残しながら自分は枯れて、養分豊かな土になります。
すると、飛んできた草の種も芽を出して育ち、草原になります。枯れた草も土になり、大きな木も育つようになります。こうして、砂漠や寒い地方を除けば、どんな荒れ地も、長い年月が経てば森になります。人間が現れるまでは、陸地の多くは森でした。

人間が現れると、畑を広げたり、家を建てたり、薪を手に入れたりするために、森の木を切りました。こうして、平らな土地にある森は、どんどんなくなりました。日本は山が多いので、いまでも国土の3分の2が森です。このような国は珍しいです。

そして、石炭や石油を使うようになると、排気ガスが雨に溶けた「酸性雨」が、森の木々を枯らしていきました。
ヨーロッパでは、これに危険を感じた人たちが、森を守ろうとする運動を始めました。グリム童話が生まれたドイツには、シュバルツバルトという広い森があります。シュバルツバルトも、一時期は酸性雨でたくさんの木が枯れましたが、排気ガスを減らす法律が作られ、木が植えられて、いまではよみがえっています。