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鉢かづき 第3話

柳田理科雄のちょこっと解説!

柳田理科雄

今日の1科学【聞こえ方の違い】
マンガには「鉢かづき姫にはエイコの声はよく聞こえないのに、モモンガ先生の声は聞こえる」という場面があります。
『御伽草子』には出てこない、このマンガのオリジナルですが、なぜ聞こえ方が違うのでしょうか?

音は、空気の振動が伝わっていく現象です。
水の波では、水が上下に振動しますが、空気の場合は前後に振動します。このため、空気が集まって濃くなっている部分と、空気が広がって薄くなっている部分ができます。
空気の濃い部分から、隣の濃い部分までの長さを「波長」といいます。波長が長いほど、低い音になります。

また、空気が1秒間に振動する回数を「振動数」といい、「Hz(ヘルツ)」という単位で表します。振動数が大きいほど高い音になります。
風呂場のように閉ざされた空間や、鉢のように片方だけが閉ざされた空間では、決まった波長(=高さ)の音がよく響きます(「共鳴」や「共振」といいます)。バイオリンやギターの胴がヒョウタン型をしているのは、いろいろな波長の音を共鳴させるためです。

鉢のように片方だけが閉ざされた空間では、深さの4倍の波長を持つ音がよく響きます。深さ30㎝の鉢によく響くのは、波長120㎝の音です。それを振動数で表すと、モモンガ先生が言う283Hzになります。