今日の1科学【お菓子の家】
『グリム童話』のお菓子の家は、どんなお菓子でできていたのでしょうか。
『完訳グリム童話(一)』(金田鬼一訳/岩波文庫)には、次のように書いてあります。
その小さな家はパンでこしらえてあって、屋根は卵焼きのお菓子、窓は白砂糖でできていました。
他の本も参考に考えると、「卵焼きのお菓子」とはクッキーのこと、「白砂糖」とは氷砂糖のことのようです。描かれているお菓子はそれだけで、「お菓子の家」というには、なんだか質素ではないでしょうか。
『グリム童話』は、ヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟が、古いドイツの昔話を集めて1812年に発表したものです。ヨーロッパでは、西暦1600年ぐらいから1800年にかけて、たくさんのお菓子が生み出されましたが、身分の高い人やお金持ちのためのもので、一般の人が食べられるようになったのは、1800年代になってからです。
『グリム童話』の原型が語り伝えられていた時代は、クッキーや氷砂糖だけでも、夢のようなお菓子だったのかもしれません。